森田療法とは
森田療法は、1919年に精神科医・森田正馬(もりた まさたけ)によって創始された、日本独自の精神療法です。神経症(不安障害、強迫性障害、パニック障害など)の治療法として発展しました。
核心:「あるがまま」
森田療法の最も重要な概念は「あるがまま」です。これは、不安や恐れといった感情を「消そう」「コントロールしよう」とせず、そのまま受け入れながら、目的に向かって行動することを意味します。
西洋心理療法との違い
認知行動療法(CBT)が「考え方を変える」ことで感情を変えようとするのに対し、森田療法は「感情は変えられない」という前提に立ちます。変えられるのは行動だけ。不安なまま、やるべきことをやる。これが森田療法のアプローチです。
「気分本位」から「目的本位」へ
私たちは「気分が良くなったら行動しよう」と考えがちです。これを森田は「気分本位」と呼びました。しかし、気分を待っていては何も始まりません。気分に関係なく、目的に向かって行動する「目的本位」の生き方が、結果的に心の健康をもたらします。
「内相」と「外相」
森田は心の状態を「内相」(感情・気分)と「外相」(行動・表情)に分けました。内相は直接コントロールできませんが、外相はコントロールできます。外相を積み重ねることで、少しずつ内相も変化していきます。
現代への適用
100年以上前に生まれた森田療法ですが、現代のストレス社会にも非常に有効です。SNSによる比較、完璧主義、将来への不安—これらに対して「不安なままでいい、今できることをしよう」という姿勢は、シンプルで力強いメッセージです。